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茶   事
 茶事の基本は、正午、朝茶、夜咄(以上は三時の茶と呼ばれる)暁の
茶事、飯後、跡見、不時の七通りです。
 この中でも、正午の茶事は、全ての茶事の基本とされ、朝茶は夏の間
涼しい早朝に朝食をかねたもてなし、夜咄は秋の終わりから冬にかけて
夜長の時季に夕食をかねてもてなしをするもので、炉の季節には、静寂
と夜闇の中で行う暖かな夜咄は忘れられない一会です。下記は正午の茶
事の流れです。

    
 風 炉            炉 
   待 合            待 合 
   席入り            席入り 
   懐 石            初 炭 
   初 炭            懐 石 
   中立ち            中立ち 
   濃 茶            濃 茶 
   後 炭            後 炭 
   薄 茶            薄 茶 


 炉の正午の茶事について 
   まず、客は案内の時刻より15分ほど早めに到着し、寄付で身支
  度をととのえ待合に通ります。特に厳冬の時季には、亭主は到着の
  時間にあわせ席中を十分に暖めてお迎えします。火鉢を置いたり、
  身体を芯から暖める甘酒や葛湯をお出しするのもよろしいでしょう
  腰掛けにも暖かい配慮を尽くし、手焙りなどを置きます。客はひと
  とき手を手焙りにかざしながら敷松葉の露地の景色を楽しみます。
   亭主は蹲ばいを清め、迎付けに出て席入りをうながします。厳冬
  期には客は、蹲ばいの湯桶石に用意された湯で手をそそぎ、口を清
  めます。
   初座、席入りした客は順次、床の掛物、点前座、釜の様子などを
  拝見し、定座につきます。頃合いをはかって亭主は席中に入り挨拶
  をかわし、炭点前に入る挨拶をして水屋へ下がります。
   初炭点前は懐石の八寸が出されるころに煮えがつき、後座の濃茶
  を点てるときにうまく火相と湯相を合致させられるようにつぐのが
  理想とされています。炭点前をすませ、懐石を饗します。亭主は手
  順に従い温かいものは温かく、その料理のもっとも美味しいとされ
  る状態で持ち出し、召し上がっていただきます。客は亭主のもてな
  しに感謝の気持ちをもってこれを賞味いたします。懐石が済み、主
  菓子が出されます。そして中立ちとなります。
   中立ちも暖を取りながら、後入りの楽しみの刻を待ちます。この
  間に亭主は床の軸をはずし花に、点前座に濃茶の準備をととのえて
  鳴り物などで客に知らせます。
   やがて後入りを知らせる銅鑼の音にいざなわれて、にじり口から
  ふたたび席入りした客は、花の荘られた床、濃茶の準備がととのっ
  た点前座を拝見し、亭主の入りを待ちます。
   静まり返った茶室の中に響く音は、釜にたぎる湯の音、点前を進
  める衣擦れの音、茶碗に汲む湯の音、静かに時が過ぎ行くなか、濃
  茶が練り上げられ茶事のクライマックスを迎えます。心地よい緊張
  感のなか、一服を連客とともにいただく、この時間を得るがための
  初座があり、中立ちがあるのです。濃茶をいただいた正客は、お茶
  名や前席のお礼など挨拶をかわし、主客ともにある至福の時がさら
  に深まります
   濃茶をおいしくいただいたあと、勢いをなくした炉中に炭を足し
  (後炭)、薄茶を差し上げます。
   亭主は敷物や煙草盆を出し、干菓子をすすめて、薄茶を点てます
  厳粛な濃茶とは反対に、主客うちとけながら明るくなごやかなうち
  に茶事が終わります。
   客一同は礼を述べ、もう一度、床や道具を拝見し、退出します。
  亭主の見送りを辞退し、客は露地にて一礼し、寄付に戻ります。       
 

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